山口大学工学部循環環境工学科

研究内容 【PDFでのダウンロードはこちらから】

有機性バイオマスから生理活性物質を生産するためのバイオプロセスの構築

通阪 栄一

   資源が乏しい我が国において大量に発生する有機性廃棄物を再資源化することは、処理コストの削減及び資源の有効活用の観点で重要な課題です。特に、食品加工プロセスで大量に排出される食品廃棄物は均質なものが多く、資源として利用しない手はありません。本研究では、食品系バイオマスを栄養源として微生物培養することで、付加価値の高い生理活性物質(DHAなどのオメガ3脂肪酸やアスタキサンチンなどのカロテノイド)の生産を行っています。また、その生産物を利用した機能性食品や飼料を開発し、資源循環の促進を目指しています。これを実現するために、培養器の設計や培養プロセスの効率化を検討しています。

界面/表面を利用した機能性材料の開発

通阪 栄一

  液体と固体、液体と気体、あるは油と水のように混ざり合わない物質の境界(界面、表面)は均一相にない環境を形成しています。この特異的な環境を利用して、マイクロカプセル、ファイバー、ゲルシートなどを調製し、バイオプロセスへの応用や医療材料の開発を行っています。例えば、微生物や酵素を上記材料に封入して安定化させ、連続発酵プロセスに利用することを検討しています。また、動物細胞を培養するための足場材料や遺伝子/たんぱく質を導入するための材料の開発も検討しています。これらの検討では、材料と細胞の相互作用の制御が重要であるため、材料表面での細胞の挙動を解析するシステムの開発も行っています。

バイオ医薬品の低侵襲性投与技術の開発

通阪 栄一

   現在活発な開発が行われているバイオ医薬品(タンパク質)の投与形態は注射が主流であり、負担が少なく簡便で安全な投与方法への移行が望まれています。最も期待されているのが飲む・吸う製剤ですが、タンパク質をそのまま投与しても腸や鼻の粘膜層がバリアとなり、ほとんど体内へ吸収されません。本研究では、界面活性剤で形成した生体膜融合性の高い脂溶性ナノ粒子を用いて、タンパク質の吸収性改善を目指しています。このナノ粒子を粘膜面で効果的に作用させるために、様々な剤形修飾(粘膜付着性製剤、自発的乳化製剤、ナノミセル化製剤、細胞集積性製剤)を検討しています。これらの技術を応用して、誰でも利用できる点鼻型のワクチン製剤や高齢化社会に対応する脳疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病)治療のための製剤の開発を行っています。

研究者の紹介
氏 名(フリガナ) 通阪 栄一(トオリサカ エイイチ)
所 属 大学院創成科学研究科
学 位 博士(工学)
研究室ホームページ 通阪研究室
研究キーワード バイオマス再資源化、バイオプロセス、バイオマテリアル
通阪 栄一
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