山口大学工学部循環環境工学科

研究内容 【PDFでのダウンロードはこちらから】

流体輸送の省エネルギー技術 ― 抵抗低減効果

佐伯 隆

   ポンプは配管を使って液体を輸送する仕事をします。このとき、管の壁と液体の摩擦によって、ポンプの流体輸送エネルギーが損失します。抵抗低減効果(Drag Reduction;DR効果)はある種の界面活性剤を流体にごく少量添加することで、摩擦を大幅に低減できる技術で、ポンプ動力の省エネルギーが可能です。これまで、企業との共同研究で、国内の各種施設やビルの水循環空調設備に対し、DR効果の実用化研究とその普及を進めてきました。適用実績は200例を超え(写真はDR効果を適用したビルです)、15%から50%を超える省エネルギーを達成しています。現在も実用化に関わる研究を行う一方、DR効果の発現メカニズムを流体解析などによって研究しています。

液体の静的混合装置と混合性能の評価方法の開発

佐伯 隆

   さまざまな産業で、複数の液体を混ぜる操作があります。一般には、槽内の液体をモーターに取り付けた撹拌翼と呼ばれるもので混合します。これに対し、配管内に障害物を設置し、モーターなどの動力を使わずに流しながら混合する静的混合装置と呼ばれるものがあります。静的混合装置は省スペース、省エネルギーな装置で様々な形状があますが、混合性能を評価する方法がありませんでした。これに対し、当研究室で評価方法を開発し、日本工業規格(JIS)を制定しました。現在はこの方法で、既存の静的混合装置を評価したり、新しい静的混合装置の開発をしています。

地中熱利用システムの省エネルギー

佐伯 隆

   地中の温度は年間を通して15℃付近とほぼ一定であり、その特性を利用し、エアコンの室外機の代わりに地中熱を使う検討を行っています。地中に熱を放出したり、地中の熱を回収するために、地中深くにパイプを埋め、ポンプで水を流しています。本研究は、研究1のテーマに関連するもので、地球にやさしい地中熱利用をさらに省エネルギーで行おうとするものです。現在、広島県三次市に設置した設備において、実験データを蓄積中です。



廃食油を用いたディーゼルエンジン燃料(BDF)

佐伯 隆

   飲食店や家庭で使用した天ぷら油を回収し、これを再生することによって、ディーゼルエンジン自動車の燃料として利用する技術を研究しています。再生された油(BDF:Bio Diesel Fuel)は、山口県宇部市においてバスや産業廃棄物の回収トラックなどに使用されています。化石燃料である軽油を使わない、地球にやさしい技術に関する研究です。写真はBDF中に含まれる微量の水分を計測する装置です。




その他、企業とさまざまな共同研究を実施

佐伯 隆

   これまで、乾燥こんにゃく(お湯をかけると元に戻る)、飲み物が上手に混ぜられるマドラー(写真)、断熱性の高い塗料、手からたれない化粧品(クレンジングオイルや日焼け止めオイル)、磁力を加えると固くなる液体、流れる石炭燃料、低品位の石炭の改質などの研究開発を企業と共同で行ってきました。対象や分野を限定せず、これは面白い!と感じたものを研究テーマに選び、世に出すことを考えて、日々、研究を進めています。

研究者の紹介
        
氏 名(フリガナ) 佐伯 隆(サエキ タカシ)
所 属 大学院創成科学研究科
学 位 博士(工学)
研究室ホームページ佐伯・貝出研究室
研究キーワード 複雑流体、レオロジー、省エネルギー
佐伯 隆
ページトップへ戻る