- 研究内容
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高安全性と高コストパフォーマンスを実現した大型蓄電池の開発
低炭素社会の実現に向けた取り組みの一つとして、太陽光や風力など自然エネルギーを電気エネルギーに変換していくことが進められています。しかしながら、自然エネルギーを利用した発電では、自然環境で発電量が変化します。そのため、効率よく電気を貯める・供給するシステムが必要です。そのシステムに利用可能な大型蓄電池の開発が必要とされています。その中で当研究室では、下記の電池について検討を進めています。 ・水系電解液を利用したイオン電池の開発 リチウムイオン電池は、正極:LiCoO2、負極:グラファイト、電解液:有機溶媒を利用しています。電解液に有機溶媒を利用することで、約4.0 Vの高い作動電圧を示しますが、その反面、有機溶媒は可燃性であるため、電池が大きくなると電池の安全性が低下するという課題があります。そこで、電解液を不燃性である水溶液へ移行させる取り組みをしています。 ・全固体Naイオン電池の開発 不燃性である水溶液系電解液よりさらに安全性・エネルギー密度を同時に改善する電池系として、全固体電池が注目されています。その中でも、キャリアイオンをレアメタルであるLiからNaへ変えることによって、コストパフォーマンスの改善も可能になることが期待されます。全固体Naイオン電池の開発に向けて、正極材料・負極材料の開発を進めています。
電気自動車用次世代蓄電池の開発
2030~2040年にはガソリン車から電気自動車に移行していくことが目指されています。現在のリチウムイオン電池では、エネルギー密度が十分ではないため、500 Wh/kgを目指した新しい蓄電池の開発を進めています。その中で、コンバージョン反応を利用した正極材料の開発を進めています。また、これまでのイオン電池のキャリアイオンは、LiやNaのような陽イオンですが、このキャリアイオンに陰イオンを利用したフッ化物イオン電池などの開発にも取り組んでいます。
- 研究者の紹介
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氏 名(フリガナ) 喜多條 鮎子(キタジョウ アユコ) 所 属 大学院創成科学研究科 学 位 博士(工学) 研究室ホームページ 喜多條研究室 研究キーワード 無機材料合成、電極材料設計、次世代蓄電池